クーラント液(冷却水)の役割や色の違い・交換時期など徹底解説!よくある質問にも答えます!

エンジンルームを覗くと色がついた液体が見たこと有りませんか?実はエンジンを冷すために不可欠な冷却水(クーラント液)なんです。

「緑色」「赤色」した液体を見たことある!
あれ?「緑」「ピンク」だったかな?

「緑」「赤」「青」「ピンク」の4色あるよ!
色の違い付いてはあとで詳しく解説するね
呼び方は「LLC(ロングライフクーラント)」「クーラント液」「冷却水」といろいろな呼び方がありますが全部同じです。
車のエンジンを適切な温度に保つために欠かせない「冷却水(クーラント液)」
意外と知られていないポイントとして。
適切に管理しないと、エンジンのオーバーヒートやサビの原因になることも…。
この記事では、冷却水の役割や種類、交換時期について詳しく解説します。
1. クーラント液の役割について
1-1. クーラント液の一番の役割は「エンジン保護」

クーラント液はエンジン内部で発生する熱を吸収し、ラジエーターを通じて外部に放出します。
これにより、エンジンがオーバーヒートするのを防ぎ、正常な動作温度を維持します。
1-2. 凍結防止

冬場の低温環境でも冷却水が凍結しないようにするため、不凍液(エチレングリコールなど)が含まれています。
通常の水では凍結してしまう温度でも、クーラント液は凍らず、エンジンの破損を防ぎます

クーラント液は濃度によって凍結温度が変わるよ。
日本で走るならクーラント液と水の割合は5:5で大丈夫。
薄めても−35℃まで耐えられるよ。
1-3. 防錆・腐食防止

クーラント液には防錆剤が添加されており、エンジン内部の金属部品が錆びたり腐食したりするのを防ぎます。
これにより、エンジンの寿命を延ばすことができます。

リザーブタンクの水位が減った時に水をいれる人がいるけど、それはクーラント液の濃度が下がるからダメだよ!
水道水に含まれる「カルキ」もゴムや金属を痛めるからなおさらクーラント液の濃度には注意!
1-4. 熱の循環

クーラント液はエンジンの熱を吸収し、冷却システムによって適正温度を維持することで、低燃費や排気ガスの抑制に貢献しています。
また車内の暖房は、エンジンで温められたクーラント液の熱を利用し、ヒーターコアを通じて温風を作り出しています。

だから寒い時期はエンジンが温まらないと暖房が出てこないのか!
1-5. 泡立ち防止
クーラント液には消泡剤が添加されており、泡の発生を抑える役割を持っています。
燃焼室付近は高温になりやすく、クーラント液が加熱されると泡が発生しやすくなります。泡が発生すると冷却性能が低下し、冷却系統のトラブルにつながります

クーラント液を交換するときは、「エア抜き」って言葉を使うけど、空気を抜いて冷却通路内をクーラント液で満たすんだよ!
1-6. エンジンオイルの熱も吸収

スポーツカーや一部の軽自動車(ターボ車)には、エンジンオイルを冷却する「オイルクーラー」が搭載されており、クーラントを利用して冷却するタイプもあります。
エンジンオイルは高温になりすぎると粘度が低下し、潤滑性能が損なわれることで、エンジンを損傷させる可能性があります。

2. 色は二組に分けられる「LLC」と「スーパーLLC」で別れている

クーラント液は【赤色】【緑】【青色】【ピンク色】の4色に分かれていますが、「LLC」と「スーパーLLC」の二組で分けることが出来ます。
2-1. 「LLC」と「スーパーLLC」の違いは【交換時期】
「LLC」と「スーパーLLC」の違いは交換時期の長さが違います。
種類 | 色 | 交換時期 |
LLC | 赤 緑 | 2〜4年 |
スーパーLLC | ピンク 青 | 7〜8年 |
「LLC」は昔の規格で交換時期が2〜4年と短めなので車検ごとに交換が必要でした。
「スーパーLLC」は現在の規格で交換時期が7〜8年と長寿命なので車検の3回に1回交換すれば大丈夫です。一部のメーカーでは10年間交換不要って製品もあります。

メーカー推奨は7〜8年だから気になる人はもう少し短くても良いかもね
2-2. スーパーLLCの価格は1.5倍。交換方法は一緒。
LLCに比べてスーパーLLCは交換サイクルが3倍長くて、部品代は1.5倍なのでコストは低くなります。
交換方法も特に違いはないので、工賃も同じになるはずです。(会社の方針によります)
2-3. 赤・ピンクはトヨタとダイハツだけ

国内車でいうとトヨタとダイハツは【赤】【ピンク】のクーラント液を使用しています。(トラックの日野もピンク)
他のメーカー(日産、ホンダなど)は【緑】【青】のクーラントを使用しています。

整備士からすると【赤】【ピンク】のほうが劣化の判断をしやすいよね!
2-4. リザーブタンクの残量が減ったときは希釈したクーラント液をいれよう

リザーブタンク内のクーラント液が減る原因は色々ありますが、どんな車でもありえるのは自然蒸発によるものです。年間に約0.3〜0.5リットル。
減った分を補充するときは希釈したクーラント液をいれましょう。
「水道水で大丈夫だ!」との意見もありますがやめましょう。
少なくなるたび水道水を入れるとクーラント液の濃度が低くなるので、水路内が錆びつく原因になるるためです。

水道水に含まれるカルキもホースなどのゴム類を痛める原因になるよ!
3. よくある質問
3-1. 同じ種類なら混ぜても大丈夫

同じ種類であれば混ぜても大丈夫です。(緑と赤)(ピンクと青)
しかし2つの色を混ぜると「茶色」っぽい色になり、クーラント液の劣化時期がわからなくなるので、基本的には同じ色を推奨です。

例えば「ピンク色のクーラント液」が漏れた時発見が容易になるよ!逆に「茶色になったクーラント液」は発見に時間がかかるかも^^;
3-2. 古い車にスーパーLLCを入れてはダメ
理由:スーパーLLCとLLCの主成分が違うため、古いエンジンで使われるゴムパッキンやシーリング材(液体パッキン)を痛めてしまう可能性があるためです。
もちろん新しい車に規格が古いLLCを入れるのもダメです。
なので同じ色のクーラント液を入れましょう。

例えばオーバーヒートを起こした時に規格が違うクーラン液を入れたことで補償から外れる可能性もあるから一応同じクーラントを入れよう
3-3. 濃度次第でアイドリングストップが動かない

クーラント液の濃度が薄過ぎるとアイドリングストップが動かなくなることがあります。
クーラント濃度が低いと冷却能力が下がるため、アイドリングストップに必要な適切な温度範囲を維持出来ないためです。
車種ごとの必要濃度の把握はしていませんが、少なくともクーラント液は4割は入れましょう。
3-4. リザーブタンクの【Full】までクーラント液を入れる

リザーブタンクには【Full】【Low】のアルファベットが書かれています。
口頭で「Fullまで入れて」って言われると溢れるまで入れたくなりますが違います。
冷却水は熱くなると体積が増えて、冷えると体積が減ります。
もしクーラント液が【Low】より下の場合、リザーブタンクからエンジンの冷却水通路に空気が入ってしまう原因になります。
なのでクーラント液は【Full】又はそれ以上入れましょう。
多い分には溢れるように出来てますので大丈夫です^^
3-5. 廃棄方法は凝固剤を使う
古くなったクーラント液を水道に流したり不法投棄は、環境汚染や法的な罰則を受ける可能性があります。
事前に確認することでガソリンスタンドや自動車整備工場に持ち込めば安価で処分することが出来ます。
コストは掛かりますが凝固剤を使用して自宅で処分する方法もあります。
クーラント液は車の大きさによって変わりますが、おおよそ以下のとおりです。
・軽自動車には約4〜5リットル
・普通乗用車には5〜7リットル
紹介する商品は20リットルまで対応しているので車2〜3台分のクーラント液を吸収することが出来ます。

僕も使ったことあるけどすごい吸収率だった!
クーラント液が手についても石鹸で簡単に取れるから作業も簡単にできるよ^^
3ー5. 自宅で出来る?→おすすめしません
自宅でクーラント液を交換するのに一番の壁はエア抜きです。
エア抜きとは冷却水路内に溜まった空気を出す作業になりますが、エア抜きをしっかりしないと「エンジンのオーバーヒート」や「サビ」に繋がる可能性があるからです。
他にも
・ラジエーターのドレンコックの締め忘れ
・クーラント液の濃度の間違い
・暖房が出てくるか確認
・リアクーラーがついているか
・クーラント液の廃棄方法の確認
・暖気後、リザーブタンク内のクーラント量を確認
自動車整備士は簡単にやっている様に見えますが、確認ポイントはたくさんあります。なので自分でクーラント交換するのはおすすめしません。

ネットにも情報はあるけど真偽がわからないから基本的にはディーラーや整備工場にお願いしよう!
3ー6. 希釈と原液のどっちを買えば良い?→「そのまま使える」商品を買いましょう
希釈:原液(100%クーラント液)を水を加えて薄めること
原液:薄めたり加工したりする前の、元の濃い液体

ややこしくて僕も注文するときは「薄まっている」か「薄まってない」って言ってるよ
・薄まっているのに→原液使用
・原液なのに→希釈タイプ
などなど。
なので一つの答えとして、クーラント液の商品を見て「そのまま使える」と文言がある商品を買いましょう。理想は1:1で薄まっているもので。
あと、純正品じゃなくても問題はありません。
大事なのは「どれだけ薄まっているか」「スーパーLLC or LLC」だけです。
3-7. ハイブリット車も同じクーラント液で大丈夫

写真をみるとリザーブタンクが2つあるのが分かります。
1つはエンジン用
もう1つはハイブリットのインバーター用
どっちとも冷やすことを目的としているので同じクーラント液で問題ありません。また濃度も同じで大丈夫です。
4. まとめ
最近では長寿命になったので交換する機会も減って来たクーラント液ですが、エンジンにとって大事な役目があります。
・エンジンの保護(冷却効果)
・凍結防止
・防錆・防食防止
・熱の循環(暖房にも使用)
・泡立ち防止
・エンジンオイルの冷却
車を長く乗っていると、いくらクーラント液を定期的に交換してもエンジン周りは劣化や消耗をするので壊れる箇所も出てくると思います。

ラジエーターの上部のプラスチックが劣化で割れてクーラント液が噴水のごとく噴き上げたのを見たことあるよ^^;
しかしクーラント液を理解することで、故障やトラブルに巻き込まれたときも落ち着いて正しい対処が出来るようになります。
今回は「クーラント液(冷却水)の役割や色の違い・交換時期(よくある質問)」を解説させていただきました。
それでは素敵なカーライフを^^